ガッカリしていたのは、私だけだった|NISAを教えて分かったこと
誰かにNISAを教えるとき、「口座さえ開ければ一歩前進」と思っていませんか。私も少し前まで、そう思っていました。
職場ではお金の話をわりと普通にする方で、住宅ローンや積立の話が雑談のついでに出ることも珍しくありません。投資歴は8年、40歳のときにインデックス投信の積立から再開しました。それくらいの経験しかないのですが、同僚から「NISAを始めたい」と相談されたときのことを、ここに書いておこうと思います。まだ答えが出ていない話です。
同僚に「NISAを始めたい」と言われた
きっかけは本当にちょっとした雑談でした。証券口座の話、つみたて投資枠の話。同僚は前から気になっていたようで、「一緒にやってもらえたら心強い」と言われました。インフレのことを考えると、月1万円からでも始める価値はあるのではないか、というくらいのことを伝え、休日にどこかで待ち合わせて、証券口座と銀行口座の手続きを一緒にやることになりました。
待ち合わせの数日前、私はある記事のコピーを渡しました。複利のことと、早く始めることの意味について書いた記事です。
自分が書いたブログの記事だとは言わず、「ネットで見つけたんだけど、わかりやすかったから」とだけ伝えました。今振り返ると、これも小さな引っかかりではあるのですが、当時はそれくらい気軽なことのつもりでした。当日は免許証とマイナンバーカードを忘れずに、とだけ伝えて、その日を待ちました。
当日、マイナンバーカードを忘れてきた
休日、喫茶店で待ち合わせました。同僚は来てくれましたが、免許証はあってもマイナンバーカードがありませんでした。それがないと本人確認が進められず、その日は手続きに進めませんでした。
正直に書くと、かなりガッカリしました。休日を使って、わざわざ場所を作って待っていたのに、という気持ちがありました。「来週もう一度お願いできますか」と言われて、その場では「いいですよ」と答えましたが、後から断りました。相手のためというより、引き受けたらまた自分がモヤモヤすることになりそうだと思ったからです。その判断が正しかったのかどうかは、今でもよく分かりません。「分からないことがあったら聞いてください」とだけ伝えて、その日は別れました。
1か月、2か月、そして3か月
それから会社で顔を合わせるたびに、「その後どうですか」と聞いていました。返ってくるのはいつも「忙しくてまだ」という言葉でした。1か月経っても、2か月経っても同じでした。
急かすつもりはなかったのですが、聞くたびにどこかで「本当にやる気があるのだろうか」という気持ちが自分の中に生まれていたのは否定できません。3か月ほど経ったころ、ようやく「銀行口座と証券口座、両方できました」という報告がありました。ほっとしたのも束の間、聞いてみると入金はまだで、当然買付もしていないとのことでした。手続きは終わったのに、投資はまだ何も始まっていませんでした。
その話を家でしたとき、「マイナンバーカードって、忘れたんじゃなくて、わざと持ってこなかったんじゃないの」と言われました。その一言で、自分の中で何かが腑に落ちるような、嫌な感覚がありました。ああ、そうなのかもしれない、と一瞬納得しかけた自分がいました。
でも、たぶんそれは違った
その後、会社で話す中で少しずつ分かってきたことがあります。
同僚は、私が渡したあの記事のコピーを、家族にも読ませていたそうです。付箋を貼り、分からない言葉にはマーカーで色をつけていました。当日はその紙も、実は忘れてきていたのだと後になって聞きました。銀行口座も、同僚自身は初めて作るもので、パスワードのようなものがすぐに出てこなかったようです。お金まわりの管理は、家庭の中でもともと別の人が担っていたとのことでした。
つまり同僚は、避けていたわけでも、やる気がなかったわけでもありませんでした。私が思っていたよりずっと真剣に準備していたのです。家族と一緒に、二人で始めたかったのだと思います。「わざとだったんじゃないの」という推測は、たぶん違っていました。そして、あの付箋とマーカーだらけの紙こそ、私が本当は一番知りたかったはずの「どこでつまずいているか」そのものだったのに、私はそれを受け取れませんでした。喫茶店で待っていたときの自分は、相手の準備の重さにまったく気づいていなかったのだと思います。
教える側として、私が用意すべきだったもの
ここから先は、もし自分と同じように誰かにNISAを教える立場になった方に向けて、私が今なら準備するだろうことを整理しておきます。あくまで私個人の反省で、これが正解というわけではありません。
まず、持ち物より先に確認すべきだったのは、ネットバンキングにログインできるかどうかでした。身分証は「持ってきてください」で済みますが、銀行のパスワードが分からない場合、それはその場では解決しません。当日その場で解決できることと、事前にしか解決できないことがあるという、当たり前のことに私は気づいていませんでした。
それから、お金の話は一人の話ではないということです。家計は世帯の話で、月1万円をどうするかも、本来は家族で決めることかもしれません。私は同僚一人に教えているつもりでしたが、決めるのはその人だけではありませんでした。
「分からなかったら聞いてください」という言葉も、結局は届いていませんでした。相手はとっくに、分からない箇所を付箋とマーカーで特定していたのです。聞きやすい形を作るのは、教える側の仕事だったのだと思います。「わからなかったら聞いて」ではなく、「止まったところがあったら、その画面をそのまま見せてください」くらいまで具体的に言うべきでした。
そしてもう一つ、自分の記事についてです。あのとき渡した記事は、複利と早く始めることの有利さを説明して、口座を開くところで終わっていました。読んでいる人にとってのゴールは、本当はその先、入金して積立を設定するところにあったはずです。読み返してみると、その口座開設のところは、結果としてアフィリエイト報酬が発生する地点でもありました。責めるつもりも、必要以上に卑下するつもりもありませんが、そのことには一度だけ触れておきたいと思います。
口座開設は手続きとしては重いので、終えた時点でやり切った感覚が出てしまいます。でも投資はまだ始まっていません。手続きの重さと、投資としての進捗は、まったく一致していないのだと感じました。
口座は作った。でも、まだ買っていない人へ
実はこの「口座は作ったけれど、まだ買っていない」という状態は、珍しいことではないようです。大和アセットマネジメントが金融庁「NISA口座の利用状況調査」や証券業界の調査データをもとに分析したところによると、NISA口座を開設したものの投資をしたことがない「未稼働口座」の比率は、2024年時点でおよそ20%程度と見られています(大和アセットマネジメント「NISA未稼働口座の状況」)。ただし20代から60代の現役世代では、この比率は全体より低い傾向にあるとのことです。
ここからは、同僚と同じように「口座は作ったけれど、まだ何も買っていない」という方に向けて書きます。何を買うべきか、いくらが正解か、ということはここでは書きません。それは人によって違いますし、私が決めることでもないと思っています。
確認しておくといいと思うのは、次のようなことです。
- 銀行口座と証券口座がきちんと連携できているか
- 証券口座への入金の方法
- NISAのつみたて投資枠がどうなっているか
- 無理のない金額を、自分の家計の中で考えること
- そのうえで積立の設定をすること
- 設定が本当に完了しているか、もう一度確認すること
具体的な画面や操作は証券会社によってかなり違うので、迷ったら公式のガイドやサポートを確認してみてください。ここに書いたのは、あくまで私が経験した範囲での流れです。
まだ答えは出ていない
同僚はまだ買っていません。私の説明が足りなかったのか、記事の作り方が足りなかったのか、日程の組み方が良くなかったのか、正直まだ分かりません。始めない自由も、もちろんあると思います。誰かに急かされて始めるようなことでもありません。
ただ、私の中には今も、少しだけモヤモヤしたものが残っています。休日の喫茶店で感じたガッカリした気持ちは、結局のところ私だけのものだったのだと思いますし、その後ろめたさも含めて、まだうまく片付いていません。この話に、きれいな結末はまだありません。
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管理人
資産マシマシおやじ
都内会社員・48歳
- 📅 40歳から投資スタート(投資歴8年)
- 👨👩👧👦 子供2人(8歳・5歳)・住宅ローンあり
- 💰 世帯年収:約650万円
- 📊 投資手法:NISA・高配当株
- 🏄 趣味:サーフィン・ラーメン食べ歩き