個人向け国債の仕組みを調べた|変動と固定の違い、金利の決まり方【まだ買っていない人の整理メモ】
「国債は安全らしい」。そこまでは聞いたことがあるけれど、「変動と固定、どっちを選べばいいのか」で止まっている。インデックス投資はやっているのに、債券は一度も触ったことがない。そんな方は多いと思います。私もまさにその一人です。
私は個人向け国債をまだ買っていません。この記事は、買った人の体験談ではありません。買うかどうかを決める前に、仕組みだけ先に調べて整理したメモです。
※本記事は2026年8月時点で財務省の個人向け国債のページで確認した、一般的な仕組みの整理です。特定の商品の購入をすすめるものではありません。金利の数字は仕組みを説明するための仮の設定で、今後の金利がどう動くかを予想するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
金利が0.05%だった頃は、候補にすら入らなかった
少し前まで、預金の金利は年0.05%くらいでした。100万円を1年預けても、増えるのは税金を引く前で500円です。個人向け国債の金利もこれと同じ下限に貼りついていました。だから私にとっては「調べるまでもないもの」でした。
その水準がここ数年で変わりました。買う・買わないは別として、選択肢に入るなら仕組みくらいは知っておこう。そう思って調べ始めた、というのがこの記事の出発点です。
変動と固定の意味
最初に誤解を潰しておきます
「変動」と聞くと、預けたお金そのものが増えたり減ったりするように感じます。ここが一番の誤解です。
上下するのは、受け取る利息の率だけです。預けたお金そのもの(買ったときに払った金額)は、途中で増えも減りもしません。満期になれば、その金額がそのまま戻ってきます。これは変動でも固定でも同じです。株や投資信託のように、値段が動いて元本が減る、という商品ではありません。
固定=買った日の利率が、満期まで変わらない
固定を選ぶと、買った日に決まった利率が、満期までずっと続きます。あとで世の中の金利が下がっても、自分の利率は下がりません。そこは得です。逆に、あとで世の中の金利が上がっても、自分の利率は上がりません。上がった世の中から一人だけ取り残される形になります。
変動=半年ごとに利率が見直される
変動を選ぶと、利率が半年ごとに見直されます。世の中の金利が上がれば、次の半年から受け取る率も上がります。下がれば下がります。「今の率がずっと続く」とは考えないほうがいい、ということです。
住宅ローンの「変動」とは、嬉しい方向が逆
私は40歳のときに、東京で家を全額ローンで買いました。金利は変動です。ローンは金利を「払う側」なので、変動金利が上がると毎月の負担が増えて苦しくなります。実際に去年、私のローンの金利は引き上げられました。
個人向け国債は、これと立場が逆です。国債は利息を「受け取る側」です。だから変動を選んでいて金利が上がると、受け取る額が増えます。同じ「変動」という言葉でも、住宅ローンでは上昇が痛手で、国債では上昇が追い風です。嬉しい方向が反対だ、と整理すると混乱しません。
変動金利で住宅ローンを借りている当事者として、金利が上がったときに何が起きたのかを別の記事で整理しています。 👉 変動金利が上がっても返済額が同じだった理由|40代・変動金利の当事者が確認したこと
住宅ローンの「据え置き」の仕組みは、国債にはありません
住宅ローンの変動金利には、「金利が上がっても5年間は毎月の返済額を変えない」「見直しても前回の1.25倍までしか上げない」という、負担の急増をやわらげる仕組みがあります(5年ルール・125%ルールと呼ばれます)。
個人向け国債の変動には、この手の据え置きはありません。見直された利率は、そのまま次の半年の受け取りに反映されます。住宅ローンの感覚をそのまま持ち込むと勘違いのもとになるので、ここははっきり分けて考えます。
変動か固定かを選ぶと、預ける期間も同時に決まる
個人向け国債には3種類あります。
- 変動を選ぶと、満期は10年
- 固定を選ぶと、満期は5年か3年
つまり「変動か固定か」を選んだ時点で、「何年預けるか」もセットで決まります。別々に選べるわけではありません。
金利の決まり方
世の中の金利が、そのまま渡されるわけではない
ここが、私がまだ腹落ちしていない部分です。
個人向け国債の利率は、まず「基準金利」というものが計算され、そこから種類ごとに調整されて決まります。基準金利は、世の中で取引されている国債の金利をもとにした数字です。ただし、その基準金利がまるごと受け取れるわけではありません。間にクッションが入っています。
種類ごとの計算式
財務省のページによると、受け取れる利率は次のように決まります。
- 変動10年:基準金利 × 0.66
- 固定5年:基準金利 − 0.05%
- 固定3年:基準金利 − 0.03%
- どの種類も、下限は0.05%(これより下がらない)
基準金利が2.0%だった場合の計算例
仮に基準金利が2.0%だったとして、それぞれ計算してみます。
| 種類 | 満期 | 計算式 | 受け取れる利率(年) |
|---|---|---|---|
| 変動10年 | 10年 | 2.0% × 0.66 | 1.32% |
| 固定5年 | 5年 | 2.0% − 0.05% | 1.95% |
| 固定3年 | 3年 | 2.0% − 0.03% | 1.97% |
なお、実際には、3つのタイプで基準金利のもとになる数字がそれぞれ違います。この表は「固定3年が一番おトク」という比較ではありません。ここでは仕組みを見比べるために、3つとも同じ2.0%と仮定して計算しているだけです。
固定は、基準金利からほんの少し(0.05%か0.03%)引かれるだけです。2.0%が1.95%になる程度です。
変動は違います。2.0%に0.66を掛けるので、受け取れるのは1.32%です。同じ2.0%という金利の世界にいても、変動を選ぶと受け取れるのは約3分の2まで減る、ということになります。ここははっきり書いておきます。
なぜ0.66なのかは、断定しません
財務省は、0.66という数字について「10年の固定金利の国債を持ち続けた場合とのバランスや、いつでも換金できるといった商品の性質を総合的に考えて決めた」という趣旨の説明をしています。ただ、そこから0.66という数字がどう出てくるのか、計算の中身までは公開されていません。
私の理解の範囲では、「差し引かれている分」と、「1年経てばいつでも換金できて、しかも払ったお金がそのまま戻ってくる」という条件は、無関係ではなさそうだ、という程度にとどめておきます。ここを自分の言葉で説明しきれないのが、私がまだ買っていない一番の理由です。
変動10年の見直しには、時間のズレがある
変動10年の基準金利は、その月の最新の金利ではありません。財務省の説明では、少し前に行われた10年国債の入札の結果を使うことになっています。
そのため、世の中の金利が動いても、それが半年ごとの見直しに反映されるまでには時間のズレがあります。「今日金利が動いたから、来月の受け取りもすぐ変わる」というものではない、ということです。
この記事では、今いくらで募集されているかという具体的な数字は載せていません。今月どのタイプがどれくらいの利率で募集されているかは、財務省の個人向け国債のページで確認できます。買うかどうかを決める前に、まず今の数字を自分の目で見てみる、という使い方ができます。
途中でやめたくなったら
発行から1年経てば、途中でやめられる
個人向け国債は、発行されてから1年たてば、一部だけでも全部でも途中で換金できます。1年間は換金できない、という点だけ先に押さえておきます。
差し引かれるのは、直近1年分の利子くらい
途中で換金すると、ペナルティとして一定額が差し引かれます。財務省の説明では、「直前2回分の利子(税金を引く前)に相当する額 × 0.79685」です。
利子は半年ごとに受け取るので、「直前2回分」はだいたい直近1年分にあたります。0.79685という数字は、利子を受け取るときにすでに20.315%の税金が引かれているため、返すほうもその分を差し引いた金額に合わせている、という調整です(100% − 20.315% = 79.685%)。
実際に計算してみます
仮に、100万円分を変動で持っていて、直近の利率が1.32%だったとします。
- 半年分の利子(税引き前):100万円 × 1.32% ÷ 2 = 6,600円
- 直前2回分:6,600円 × 2 = 13,200円
- 差し引かれる額:13,200円 × 0.79685 = 約10,500円
途中でやめると、この約10,500円が差し引かれます。ですが、預けた100万円そのものは減りません。ざっくり「直近1年分の利子を返して、元のお金は返ってくる」というイメージです。
言いかえると、変動か固定かの選択を間違えたとき、取り返すのにいくらかかるかを、買う前に計算しておける、ということです。ここは個人向け国債の分かりやすい性質だと感じました。
マシマシおやじの実体験
私が投資で唯一「利率が動く商品」と長く付き合っているのは、投資ではなく住宅ローンです。40歳で家を全額ローンで買い、金利は変動を選びました。去年、その金利は引き上げられました。
このとき実感したのは、「変動を選ぶ=これから金利がどうなるか、自分では決められないものに乗る」ということでした。ローンでは、それが毎月の返済という形で重くのしかかってきます。
個人向け国債の変動は、立場が逆で、金利が上がれば受け取りが増えます。方向は逆ですが、「先のことは読まずに、動くものに乗る」という構造は同じです。この感覚があったので、変動という言葉には身構えるクセがついています。
まとめ
調べてみて、変動と固定の違いは、こう整理できると感じています。
- 固定は、これから金利が上がるか下がるかを自分なりに予想して、その予想に賭けにいく選択です。予想が当たれば得をし、外れれば取り残されます。
- 変動は、予想をしないで済ませる選択です。上がればついていき、下がれば下がる。当てにいかない代わりに、受け取れるのは約3分の2の水準になります。
どちらが正しい、という話ではないと思います。私自身は、0.66という数字を自分の言葉で説明しきれていないので、まだ買っていません。
最後に残る問いは、「自分は、金利の先を予想して当てにいく側に回りたいか」だと思います。ここに素直に答えられるかどうかが、変動と固定を選ぶ入り口になりそうです。
自分がどこまで値動きや金利の変化に耐えられるかを整理しておくと、債券に限らず投資全体の判断がぶれにくくなります。 👉 枕を高くして眠れていますか?リスク許容度を知れば投資は怖くなくなる
NISAやインデックス投資も含めて、40代がどの順番で何を考えればいいかは、こちらにまとめています。 👉 40代からの新NISAロードマップ|投資8年のおやじが順番を全部まとめた
管理人
資産マシマシおやじ
都内会社員・48歳
- 📅 40歳から投資スタート(投資歴8年)
- 👨👩👧👦 子供2人(8歳・5歳)・住宅ローンあり
- 💰 世帯年収:約650万円
- 📊 投資手法:NISA・高配当株
- 🏄 趣味:サーフィン・ラーメン食べ歩き