106万円の壁が消えた。妻が守ってきた「月8.8万円」は、もう要らない?【時給1,365円で試算】
パートで働く家庭では、「月の給料が8.8万円を超えないように」とシフトを調整してきた方が多いと思います。49歳の会社員の私の家でも、そうです。
この「月8.8万円」は、いわゆる106万円の壁のことです。2026年10月1日、その条件が制度からなくなりました。
わが家は、10月の改正後も今の働き方を変えないことにしました。その理由を、時給1,365円の試算で数字から確かめています。「入るべき」「入らないほうがいい」といった結論は出しません。判断の材料としてお使いください。
※この記事は一般的な制度の説明と試算です。数字はすべて「目安」で、税金(所得税・住民税)は考慮していません。実際の加入条件や金額は、勤め先や加入先(協会けんぽ・健康保険組合・年金事務所)でご確認ください。
そもそも「社保に入る」とは何のこと?
パートの話でよく出てくる「社保(しゃほ)に入る」は、ふつう健康保険と厚生年金にセットで入ることを指します。雇用保険(失業したときの給付などの制度)は別の制度です。
| 扶養内(一般論) | 社保に加入 | |
|---|---|---|
| 健康保険の入り方 | 配偶者の保険に家族として | 勤め先の保険に本人として |
| 年金の種類 | 国民年金(第3号被保険者) | 国民年金+厚生年金 |
| 保険料の自己負担 | なし | あり(給料から天引き) |
| 将来の年金 | 国民年金のみ | 国民年金に厚生年金が上乗せ |
| 傷病手当金・出産手当金 | 対象外 | 対象(加入先の制度による) |
社保の全体像は、こちらの記事でも書いています。
2026年10月に何が変わった?
2026年10月1日になくなったのは、賃金要件(月額8.8万円以上=106万円の壁)だけです。ほかの条件は残っています。
| 条件 | 以前 | 2026年10月1日から |
|---|---|---|
| 賃金(月額) | 8.8万円以上 | なし(撤廃) |
| 週の所定労働時間 | 20時間以上 | 20時間以上(変わらず) |
| 雇用の見込み | 2か月を超える | 2か月を超える(変わらず) |
| 学生 | 対象外 | 対象外(変わらず) |
| 企業規模 | 51人以上 | 51人以上(変わらず) |
つまり、壁の名前が「106万円の壁」から「週20時間の壁」に変わった、と考えるとわかりやすいです。
なぜ賃金要件がなくなったのでしょうか。最低賃金が上がり、週20時間働けばほぼ自動的に月8.8万円を超えるようになったためです(出典:厚生労働省・日本年金機構の案内)。
【マシマシおやじの実体験】わが家の上限は「お金」ではなく「時間」
妻は時給1,365円のパートで、月8.8万円を超えないように働いています(時給1,365円なので、計算上は週15時間前後です)。シフトを出すたびに、入る回数と時間を毎回計算して、月8.8万円を超えないようにしています。
それでも上限を決めているのは、お金より時間です。子どもの突然の休みや早退、夏休みなどの長期休みがあり、思いどおりに時間を増やせません。子どもがまだ小さい今の働き方は、夫婦で話し合って決めました。社会保険に入って得になるほどは稼げない、というのが夫婦の判断で、扶養から外れる働き方は選びません。
この記事を書くにあたって、夫婦で少し話しました。賃金の条件がなくなっても、結論は「前と変わらずに働く」でした。
働き方を増やすなら、子どもが中学生くらいになってからと考えています。下の子が中学生になるまで、あと7年ほどです(2026年10月時点)。そのとき、また見直します。
時給1,365円で試算してみた
試算の前提
- 協会けんぽ・東京支部の令和8年度の保険料率:健康保険9.85%、介護保険1.62%(40〜64歳のみ)、子ども・子育て支援金0.23%
- 厚生年金保険料率:18.3%
- すべて労使折半(会社と本人で半分ずつ)で、表の金額は本人負担分
- 雇用保険:本人負担は賃金の0.5%(令和8年度・一般の事業)
- 1年は52週で計算。所得税・住民税は考慮しません
3つのケース
- A:今の働き方…月8.8万円以内、社保なし
- B:制度上の余地…週20時間未満のまま、契約上の年収が130万円未満(月約10.8万円)まで社保なしで増やす。時給1,365円で、週18時間前後にあたります
- C:週20時間で社保に入る…月額は約118,300円(20時間×1,365円×52週÷12か月)。標準報酬月額(社保料を決める区分)は118,000円になります
| A 今の働き方 | B 社保なしの上限 | C 週20時間で社保加入 | |
|---|---|---|---|
| 月の労働時間 | 約64.5時間(週約15時間) | 約79時間(週約18.3時間) | 約87時間(週20時間) |
| 額面 | 約8.8万円 | 約10.8万円(130万円÷12か月) | 約11.8万円 |
| 社保などの負担 | なし | なし | 約16,700円+雇用保険約590円 |
| 手取り(目安) | 約8.8万円 | 約10.8万円 | 約10.1万円 |
| 1時間あたりの手取り | 約1,365円 | 約1,365円 | 約1,165円 |
週の労働時間ごとの手取り早見表
週の時間を1時間ずつ変えると、手取りはどう動くのか。時給1,365円で、週15〜26時間を計算しました。
前提:40歳未満(介護保険なし)、協会けんぽ東京・令和8年度、標準報酬月額は保険料額表の等級で判定、本人負担は厚生年金9.15%・健康保険4.925%・子ども・子育て支援金0.115%、雇用保険0.5%(週20時間以上のみ)、52週、税金は考慮外。
| 週の時間 | 額面(月) | 社保など本人負担(雇用保険込み) | 手取り(月) | 1時間あたりの手取り |
|---|---|---|---|---|
| 15時間 | 88,725円 | 0円 | 88,725円 | 約1,365円 |
| 16時間 | 94,640円 | 0円 | 94,640円 | 約1,365円 |
| 17時間 | 100,555円 | 0円 | 100,555円 | 約1,365円 |
| 18時間 | 106,470円 | 0円 | 106,470円 | 約1,365円 |
| 19時間※ | 112,385円 | 0円 | 112,385円 | 約1,365円 |
| 20時間 | 118,300円 | 17,336円 | 100,964円 | 約1,165円 |
| 21時間 | 124,215円 | 18,500円 | 105,715円 | 約1,162円 |
| 22時間 | 130,130円 | 19,665円 | 110,465円 | 約1,159円 |
| 23時間 | 136,045円 | 19,694円 | 116,351円 | 約1,167円 |
| 24時間 | 141,960円 | 20,859円 | 121,101円 | 約1,164円 |
| 25時間 | 147,875円 | 22,023円 | 125,852円 | 約1,162円 |
| 26時間 | 153,790円 | 22,053円 | 131,737円 | 約1,169円 |
扶養内の上限の目安は、週約18.3時間です(130万円÷12か月≒108,300円)。この上限近く(週18時間・約106,500円)と比べると、週20・21時間は手取りが少なくなります。週18時間の手取りを超えるのは、この試算では週22時間からです。なお、週21時間は標準報酬月額126,000円、週22・23時間は134,000円の等級になるため、負担額が階段状に変わります。
※週19時間は契約上の年収が130万円以上と見込まれ、扶養から外れる可能性があります。その場合の国民健康保険・国民年金の保険料は含みません。
この表の注意点:扶養の判定や勤め先の条件で、実際の金額は変わります。数字は目安です。
Cの本人負担の内訳(標準報酬月額118,000円)
| 内訳 | 月額 | 中身 |
|---|---|---|
| 厚生年金 | 約10,797円 | 年金(全体の約3分の2) |
| 健康保険 | 約5,811円 | 医療保険 |
| 子ども・子育て支援金 | 約136円 | 健康保険と一緒に徴収 |
| 介護保険(40〜64歳のみ) | 約956円 | 該当者のみ |
| 雇用保険 | 約590円 | 社保とは別の制度 |
合計の目安は、約16,700円(40〜64歳は約17,700円)に雇用保険を足した金額です。
数字から見えること
ポイント①:負担の大半は年金です。 扶養内なら負担ゼロで国民年金の加入期間になります。ですから、社保に入って増えるのは「厚生年金の上乗せ部分」と保障です。比べる相手は、「タダで国民年金」の状態になります。
ポイント②:手取りの総額は増えますが、1時間あたりは下がります。 AからCに変えると、手取りは約8.8万円から約10.1万円へ増えます。一方で、働く時間は週約15時間から20時間へ増え、1時間あたりの手取りは約1,365円から約1,165円に下がります。
さらにこの試算では、B(週18時間前後・社保なし)の手取り約10.8万円のほうが、C(週20時間・社保あり)の約10.1万円より多くなりました。
早見表で見ると、扶養内の上限近く(週18時間前後)から社保に入る週20時間に増やしても、手取りが追いつくのは週22時間あたりからです。
時間に制約がある家庭で「社保に入って得になるほどは稼げない」と感じやすいのは、こうした数字が背景にあるのかもしれません。ただし、これは目の前の手取りだけを比べた話です。次の章で、保険料のかわりに得られるものも見ておきます。
社保に入るメリットも、公平に
保険料を払うかわりに、次のような保障や上乗せがあります。
- 将来の年金が増える:厚生年金は、1年加入するごとに老齢厚生年金が年約7,800円増える計算です(標準報酬月額118,000円×5.481/1000×12か月。約7,761円)。物価などで金額は変わります
- 傷病手当金:病気やけがで働けなくなったとき、一定の条件で給付があります
- 出産手当金:出産で仕事を休むとき、一定の条件で給付があります
- 障害厚生年金・遺族厚生年金:万一のとき、国民年金の給付に上乗せされます
単純に計算すると、Cの厚生年金の本人負担は年約13万円(10,797円×12か月)です。年約7,800円の増加分だけを見ると、取り戻すまでに長い年数がかかる計算になります。ただし、会社が同額を負担していること、手当金や障害・遺族の保障もあることを考えると、損か得かは一概に決められません。家庭の状況や年数によって変わります。
残る壁「130万円」にも注意
社会保険の壁は、実はもうひとつあります。配偶者の扶養に入れるかどうかの130万円の壁です。こちらは今回の改正でなくなっていません。
2026年4月から、扶養の判定のしかたが変わりました。以前は実際の収入などで見ていましたが、今は労働契約書や労働条件通知書に書かれた賃金から見込まれる年収で判断することになっています(出典:厚生労働省 事務連絡 令和8年3月9日・日本年金機構の案内)。
- 契約に定めのない残業代は、年間収入に含めません
- 賃金には諸手当や賞与も含まれるとされています。通勤手当の扱いは、加入先に確認すると安心です
つまり、実際の収入を月8.8万円に抑えていても、契約書の時間数によっては130万円以上と見込まれることがあります。
たとえば、時給1,400円・週18時間の契約なら、1,400円×18時間×52週=約131万円(1,310,400円)になります。実際の収入は休みなどで月9万円程度でも、契約書が週18時間なら約131万円と見込まれる、という例です。
ご自身の労働条件通知書(契約書)の時給・時間・日数を、いちど確認してみてください。
注意点
判定は「所定労働時間」が基準
週20時間の判定は、契約書にある所定労働時間が基準です。ただし、契約上は20時間未満でも、実際の労働時間が連続する2か月にわたって週20時間以上になり、その状態が続く見込みの場合は、3か月目の初日に加入となります(出典:日本年金機構)。繁忙期にシフトが増える職場では、気をつけたい点です。
企業規模の要件は、段階的に広がります
企業規模の条件(今は51人以上)は、次のとおり段階的に広がる予定です。
| 時期 | 対象の企業規模 |
|---|---|
| 2027年10月 | 36人以上 |
| 2029年10月 | 21人以上 |
| 2032年10月 | 11人以上 |
| 2035年10月 | 撤廃 |
まとめ
- 2026年10月1日に撤廃されたのは賃金要件(月8.8万円=106万円の壁)だけで、週20時間・学生除外・企業規模などは残っています
- 時給1,365円・週20時間で社保に入ると、手取りは約10.1万円(目安)。働く時間が増える分、1時間あたりの手取りは約1,365円から約1,165円に下がる試算です
- 保険料のかわりに、将来の厚生年金の上乗せや各種手当金などの保障があります。損得は家庭によって違います
- 130万円の壁は残っています。労働条件通知書の数字を確認してみてください
わが家は、改正後も今の働き方を続けます。正解は家庭ごとに違うと思っています。下の子が中学生くらいになったら働き方を見直し、そのときは家計とNISAの配分もあわせて見直したいと考えています。
夫婦でNISAをどう使っているかは、こちらにまとめています。
働き方が変わると、家計の中で投資に回せる金額も変わります。そのときのために、まずは無料で開ける口座から検討してみてください。
💡 SBI証券|NISA口座開設(無料)
わが家が家族4人で使っている証券会社。投資信託の取扱本数は業界最大級で、eMAXIS SlimもSBI・Vシリーズも揃います。口座開設・維持費は無料。
SBI証券の公式サイトはこちら →楽天証券|NISA口座開設(無料)
わが家はSBI証券を使っていて楽天証券は利用していませんが、楽天カードで積み立てるとポイントが付くしくみがあり、楽天経済圏をよく使う方には候補になります。
楽天証券の公式サイトはこちら →出典
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和8年度保険料額表(東京支部)」:健康保険9.85%・介護保険1.62%・子ども・子育て支援金0.23%
- 日本年金機構「厚生年金保険料額表」:厚生年金保険料率18.3%、年金額の計算の乗率5.481/1000
- 厚生労働省「令和8年度の雇用保険料率について」:労働者負担0.5%
- 厚生労働省・日本年金機構「短時間労働者の適用拡大(賃金要件の撤廃、令和8年10月1日施行)」
- 厚生労働省 事務連絡「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)」令和8年3月9日
※本記事は情報提供を目的としており、社会保険への加入・不加入や働き方をすすめるものではありません。制度や保険料率は改正されることがあり、記載の数字は目安です。実際の加入条件・金額は、勤め先や加入先の健康保険、年金事務所でご確認ください。投資に関する内容も情報提供が目的であり、投資判断はご自身の責任で行ってください。
管理人
資産マシマシおやじ
都内会社員・49歳
- 📅 40歳から資産形成を再スタート(投資歴9年)
- 👨👩👧👦 子供2人(8歳・5歳)・住宅ローンあり
- 💰 世帯年収:約650万円
- 📊 投資手法:NISA・高配当株
- 🏄 趣味:ラーメン食べ歩き