ねんきん定期便が届いた49歳の記録|60歳・65歳・70歳、年金はいつもらうのが得かを自分の数字で比べてみた
ポストに届く1枚のハガキ——「ねんきん定期便」を見つけて、なんとなく後回しにしていませんか。私もそうでした。めくると数字がびっしり並んでいて、よく見ずにそのまましまい込む。去年まではその繰り返しでした。
49歳になって届いた今年の定期便は、ちゃんとめくって読んでみました。加入実績も、60歳・65歳・70歳でもらった場合の差も、自分の数字で計算しています。あなたはいつまで働く? 年金をもらう時期、考えたことありますか? この記事を読みながら、一度立ち止まって考えてみてください。
ねんきん定期便が届いた。49歳の数字を公開します
老齢基礎年金・老齢厚生年金の内訳と、加入期間もあわせて確認します。
今年届いた定期便に書かれていた数字はこうでした。
- これまでの加入実績に応じた年金額:1,165,133円/年(月約9.7万円)
- 内訳:老齢基礎年金 542,154円+老齢厚生年金 622,979円
- 昨年の実績:1,089,291円/年(月約9.1万円)。1年で約7.6万円(月約6,300円)増
- 加入期間:国民年金16か月+厚生年金293か月=合計309か月(このうち付加保険料10か月)
- 自分が払った保険料の累計:約917万円(同じ額を会社も負担してくれています)
- 定期便には「受給開始は60〜75歳で選べる。70歳なら42%増、75歳なら84%増」とも書かれていました
※照会番号やアクセスキー、標準報酬月額、賞与額といった細かい情報はここには書きません。職業についても、この記事では触れません。
去年より約7.6万円増えているのは、単純にうれしいです。でもこの数字、実はまだ「完成形」ではありません。次の章で、その理由を説明します。
ねんきん定期便の見方(50歳未満版)
①実績額 ②加入期間 ③もれチェックの3点を押さえましょう。
50歳未満の定期便は、ふだんは圧着式のハガキで届きます(35歳・45歳・59歳の節目の年だけ封書です)。
定期便は情報量が多くて、どこを見ればいいか迷います。50歳未満の人がまず押さえておきたいポイントは、次の3つです。
① これまでの加入実績に応じた年金額(表面にいちばん大きく書かれている金額) ② 加入期間の内訳(国民年金と厚生年金、それぞれ何か月入っていたか) ③ 「もれ」がないかのチェック(勤め先や年数に記憶と違うところがないか)
まず見るのは「これまでの加入実績に応じた年金額」
定期便でいちばん目立つのが、この「これまでの加入実績に応じた年金額」です。私の場合は1,165,133円でした。ここが①にあたります。
この金額は「今やめたら」の額。将来の見込みではない
ここが誤解しやすいところです。この1,165,133円は、「今日、年金の加入をやめたとしたら」という前提の金額です。65歳まで働き続けた場合の見込み額ではありません。
私は今49歳なので、65歳まで働けば、まだ十数年ぶんの加入実績が積み上がります。今回7.6万円増えていたのも、去年1年働いた分が上乗せされたからです。
加入期間と「もれ」のチェック
②にあたるのが加入期間の欄です。私は国民年金16か月+厚生年金293か月=309か月。このうち付加保険料を10か月納めています。
ここで③のチェックも忘れずに。「昔勤めていた会社の期間が抜けていないか」「学生時代に免除の手続きをしたはずなのに未納になっていないか」など、記憶と違うところがあれば、年金事務所や後述の「ねんきんネット」で確認できます。もれがあると、将来の年金額がそのぶん少なくなってしまいます。
50歳からは見込額が載るようになる
50歳未満の定期便に載るのは、あくまで「今までの実績」だけです。50歳になると、今の条件のまま60歳まで働き続けたと仮定した「年金見込額」が定期便に載るようになります。私はあと1年ほどでこちらに切り替わります。
60歳・65歳まで働くと、年金はいくらになる?【図1】
定期便の額は、まだ途中経過です。
「今やめたらの額」である1,165,133円を、実際に60歳まで、65歳まで働いた場合の見込みに直すとどうなるか。今の加入条件がそのまま65歳まで続くという前提で、2026年度の水準・額面で試算しました。
- 昨年の実績:約108.9万円/年(月約9.1万円)
- 今の実績(49歳):約116.5万円/年(月約9.7万円)
- 60歳まで働いた場合の見込み:約180万円/年(月約15.0万円)
- 65歳まで働いた場合の見込み:約207万円/年(月約17.3万円)
- 内訳:老齢基礎年金 約77.5万円+老齢厚生年金 約119.5万円+経過的加算 約10.2万円
月に直すと、今の実績月約9.7万円から、65歳まで働くと月約17.3万円まで増える計算です。
つまり、定期便に書かれた金額だけを見て「年金はこれだけか」とがっかりするのは早い、ということです。同時に、この約180万円・約207万円も「今の条件のまま続いた場合」の仮の数字にすぎません。実際にいくらもらえるかは、これから何年、どんな条件で働くかで変わっていきます。
この月17.3万円は、額面かつ今の物価水準での金額です。
- 65歳以降も、介護保険料・健康保険料・住民税などが年金から天引きされるので、手取りはこれより少なくなります
- マクロ経済スライドという仕組みで、年金額の伸びは物価や賃金の伸びより抑えられます。16年後に、今の感覚での月17.3万円がそのまま手に入るわけではありません
- 60歳以降に給料が下がれば、厚生年金の増え方もそのぶん小さくなります
60歳・65歳・70歳、もらう時期で年金はこう変わる【図2】
年間額だけでなく、月あたりの金額でも比べてみましょう。
65歳まで働いた場合の年金(年約207万円・月約17.3万円)をベースに、受け取り始める年齢によって年間額・月額がどう変わるかを比べます。
- A 60歳繰上げ:60〜64歳は年約137万円(月約11.4万円、5年で合計約680万円)。65歳以降は年約164万円(月約13.7万円、60〜65歳に働いた分が上乗せされます)
- B 65歳受給:年約207万円(月約17.3万円、繰上げ・繰下げなし)
- C 70歳繰下げ:年約294万円(月約24.5万円)
| パターン | 受け取る時期 | 年額 | 月額 |
|---|---|---|---|
| A 60歳繰上げ | 60〜64歳 | 約137万円 | 約11.4万円 |
| A 60歳繰上げ | 65歳以降 | 約164万円 | 約13.7万円 |
| B 65歳受給 | 65歳〜 | 約207万円 | 約17.3万円 |
| C 70歳繰下げ | 70歳〜 | 約294万円 | 約24.5万円 |
| D 厚生65歳・基礎だけ70歳(参考) | 65〜69歳 | 約130万円 | 約10.8万円 |
| D 厚生65歳・基礎だけ70歳(参考) | 70歳以降 | 約240万円 | 約20.0万円 |
※月額は年額÷12の目安です。実際の年金は2か月に1回、偶数月に2か月分ずつ振り込まれます。
ちなみに、もう一つの組み合わせ方として「老齢厚生年金は65歳から受け取り、老齢基礎年金だけ70歳まで繰下げる」という選び方もあります(参考:65〜69歳は年約130万円・月約10.8万円、70歳以降は年約240万円・月約20.0万円)。すべてまとめて繰下げるか、基礎年金だけ繰下げるか、という選択肢があることだけ、頭の片隅に置いておいてください。
何歳まで生きると逆転する?【図3】
「何歳まで生きるか」が、そのまま損得の分かれ目になります。
年間額だけ見るとCの70歳繰下げが一番多く見えます。でも、もらい始める時期が遅いほど、受け取れる年数は短くなります。そこで、90歳まで受け取り続けたと仮定して、累計額でも比べてみました。
| パターン | 90歳までの累計 | 前のパターンとの逆転年齢 |
|---|---|---|
| A 60歳繰上げ | 約4,787万円 | — |
| B 65歳受給 | 約5,182万円 | A→B:80歳10か月 |
| C 70歳繰下げ | 約5,887万円 | A→C:81歳7か月/B→C:81歳11か月 |
| D 厚生65歳・基礎だけ70歳(参考) | 約5,445万円 | — |
60歳繰上げの「5年で約680万円」は魅力?
正直に言うと、Aの「60〜64歳で先にまとまった約680万円を受け取れる」という点は、数字だけ見ると魅力的に映ります。60代前半にまとまったお金が入るのは、精神的に心強いものです。
ただし、その代わりに65歳以降の年金額はB・Cより少ないままずっと続きます。早くもらう分、あとの毎年の金額が細くなる、というトレードオフです。
逆転は80歳後半〜82歳手前に集中する
図3のとおり、A→B、A→C、B→Cのどの逆転も、80歳10か月から81歳11か月というごく狭い範囲に集中しています。つまり「何歳まで生きるか」という一点で、累計の損得が入れ替わる可能性がある、ということです。
これは「だから繰上げが得」でも「だから繰下げが得」でもありません。80代前半より前に人生の区切りを迎えれば繰上げのほうが累計は多く、それより長く生きれば繰下げのほうが多くなる、というだけの話です。
繰上げ・繰下げの前に知っておきたい注意点
加給年金や在職老齢年金への影響もあわせて確認しましょう。
数字の比較だけで決めてしまう前に、知っておきたい制度上の注意点があります。
- 繰上げは老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に行う必要があり、あとから取り消せません。 60歳で繰上げると「基礎年金だけ繰下げる」といった選び方はできなくなります
- 繰上げると、その減額率が一生続きます。さらに、原則として障害基礎年金を請求できなくなります
- 60〜64歳に働きながら繰上げ受給すると、給与の額によっては在職老齢年金の仕組みで老齢厚生年金が減額されることがあります
- 加給年金(一定の要件を満たす年下の配偶者などがいる場合に上乗せされる年金)は、老齢厚生年金を繰下げている間は受け取れません
- ここに書いた試算はすべて額面です。税金・社会保険料・物価の変動・加給年金・65歳以降も働いて増える分は含んでいません
制度は今後も変わる可能性があります。自分の正確な見込み額は、この記事の数字をそのまま当てはめず、「ねんきんネット」や日本年金機構の公的年金シミュレーターで確認することをおすすめします。
働きながら繰上げると、年金がカットされることがある
在職老齢年金(給料をもらいながら年金も受け取るときの調整の仕組み)の対象になるのは、老齢厚生年金だけです。給料(賞与込みの年収を12で割った額に近い金額)と、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額を足して、2026年度は月65万円を超えると、超えた分の半分が老齢厚生年金からカットされます。老齢基礎年金は全額支給されます。
この65万円という基準は、賃金の伸びに合わせて毎年見直されます。
60歳で繰上げた場合(老齢厚生年金は月約6.4万円)を例に、給料の水準ごとにカットの有無をまとめました。
| 60〜64歳の年収(賞与込み) | 給料の月額換算 | 年金との合計 | カットされる額 |
|---|---|---|---|
| 600万円 | 約50.0万円 | 約56.4万円 | なし |
| 700万円 | 約58.3万円 | 約64.7万円 | なし(ぎりぎり) |
| 750万円 | 約62.5万円 | 約68.9万円 | 月約2万円(年約24万円) |
| 800万円 | 約66.7万円 | 約73.1万円 | 月約4万円(年約49万円) |
給料が高いまま働くなら、繰上げは「一生24%減」に加えて在職中のカットも受けるので、メリットがさらに小さくなります。
働きながら繰下げても「42%増」になるとは限らない
定期便にも、小さな文字でこんな注意書きがあります。
「65歳以降で厚生年金保険の被保険者等である場合は、在職支給停止額を差し引いた額が、繰下げによる増額の計算対象となります」
つまり、65歳から受け取っていたとしてもカットされて受け取れなかったはずの分には、42%の増額はつきません。65歳から受け取るより損になるわけではなく、繰下げで得られるメリットが小さくなる、という意味です。
増額分の計算はこうなります。
増額分=65歳時点の老齢厚生年金 × 平均支給率 × 42%
平均支給率とは、繰下げて待っている間の各月のうち、在職老齢年金でカットされずに残った割合の平均です。
65歳時点の老齢厚生年金(報酬比例部分)約119.5万円/年を例に、65〜70歳の働き方ごとにまとめました。
| 65〜70歳の年収 | 毎月のカット | 平均支給率 | 70歳からの増額(年) |
|---|---|---|---|
| 働かない/400万円程度 | なし | 100% | 約50万円 |
| 700万円 | 約1.7万円 | 約83% | 約42万円 |
| 800万円 | 約5.8万円 | 約42% | 約21万円 |
| 900万円以上 | ほぼ全額 | ほぼ0% | ほぼ0円 |
- 老齢基礎年金はカットの対象外なので、基礎年金だけ繰下げる場合(パターンD)は、働いていても増額がそのまま効きます
- 65歳以降に働いて増えた厚生年金には、42%の増額はつきません(70歳から受け取るときに、そのまま上乗せされるだけです)
- 全額カットされる水準の給料なら、厚生年金を繰下げても増えません
定期便の小さな文字にも、大事なことが書いてありました。ぜひ自分の定期便の裏面も読んでみてください。
あなたはいつまで働く?自分の定期便で確かめる方法
そのうえで、自分が何歳まで働きたいかと照らし合わせます。
ここまで読んで「自分の場合はどうなんだろう」と思った方へ。手順はシンプルです。
- 手元のねんきん定期便で「これまでの加入実績に応じた年金額」を確認する
- 50歳以上なら、定期便に載っている見込み額をそのまま使う。50歳未満なら、今回の私のように「今の条件が続いたら」という前提で、ねんきんネットの試算機能を使ってみる
- 60歳・65歳・70歳で受け取った場合の年間額を出し、自分が何歳まで働きたいか・働けそうかと照らし合わせる
これは投資の話とも少し似ています。将来の金額を正確に言い当てることはできませんが、今の実績から「途中経過」を確認し、選択肢を並べておくことはできます。
マシマシおやじの実体験|「逆算」で年金と向き合った
年金は当てにしつつ、足りない分は自分の積立で埋めるスタンスです。
年金を真剣に考え始めたきっかけは、老後資金と子どもの学費が気になって、必要額を「逆算」して考えるようになったことでした。
投資を始めたのは40歳から。それまでは「年金なんてどうせ当てにならない」と、定期便もろくに見ずに引き出しにしまっていました。今回、49歳になって初めてちゃんと数字を並べてみて、「まだ途中経過」というだけで印象がだいぶ変わりました。
今は「年金は年金として当てにしつつ、足りない分は自分の積立で埋める」というスタンスで、NISAでの積立を続けています。60歳・65歳・70歳のどれを選ぶかは、正直まだ決めていません。ただ、選択肢を早めに並べておいてよかったとは思っています。
まとめ:正解は「何歳まで生きるか」と「何歳まで働くか」で変わる
まずは自分の定期便で「途中経過」を確認することから始めましょう。
- ねんきん定期便の「これまでの加入実績に応じた年金額」は、あくまで今やめたらの額。働き続ければ見込み額は積み上がる(49歳の私の場合:約116.5万円→60歳まで働くと約180万円→65歳まで働くと約207万円)
- 受け取り時期を60歳・65歳・70歳とずらすと、年額は137万円→207万円→294万円、月額にすると約11.4万円→約17.3万円→約24.5万円と変わる(65歳まで働いた場合の見込みが前提)
- 90歳まで受け取ったと仮定した累計額では、A・B・C・Dいずれの逆転も80歳10か月〜81歳11か月というごく狭い範囲に集中する
- 繰上げは基礎・厚生同時かつ取り消し不可、減額は一生続き、障害基礎年金の請求もできなくなる。加給年金は厚生年金の繰下げ中は止まる。数字だけでなく、こうした制度上の制約もあわせて見る必要がある
- 試算はすべて額面。税・社会保険料・物価変動・加給年金・65歳以降に働いて増える分は含まない。正確な見込み額は、ねんきんネットや公的年金シミュレーターで確認を
- 60歳以降も働く場合は、在職老齢年金にも注意。給料が高いと、繰上げでは在職中のカットが重なり、繰下げでは増額が小さくなる。老齢基礎年金はカットの対象外なので、基礎年金だけの繰下げは働いていても増額が効く
正解は「何歳まで生きるか」と「何歳まで働くか」という、誰にも事前にはわからない2つの変数で変わります。だからこそ、今の実績から自分の「途中経過」を確認し、選択肢を並べておくことに意味があると思います。
数字はすべて2026年度水準・額面の単純比較で、特定の受け取り方をおすすめするものではありません。資産形成や年金の受け取り方は、最終的にはご自身の判断と責任で決めるものです。
制度の詳しい仕組み(加給年金・在職老齢年金など)を先に整理した記事はこちらにまとめています。
最後に、もう一度聞いてみたいです。あなたはいつまで働きますか? 年金をもらう時期、考えたことありますか?
【更新履歴】2026年9月29日:60〜65歳の経過的加算を見直し、65歳時点の見込額を年約204万円から年約207万円に修正しました。あわせて、在職老齢年金と繰上げ・繰下げの関係について追記しました。
管理人
資産マシマシおやじ
都内会社員・49歳
- 📅 40歳から資産形成を再スタート(投資歴9年)
- 👨👩👧👦 子供2人(8歳・5歳)・住宅ローンあり
- 💰 世帯年収:約650万円
- 📊 投資手法:NISA・高配当株
- 🏄 趣味:ラーメン食べ歩き